ご挨拶

本サイトをご覧になって頂きありがとうございます。管理者の”ネット企業の監査人”と申します。このサイトの成り立ちと趣旨についてお伝えします。

内部監査の現状と所感

内部監査ほど日本国内で理想と現実の差が大きい仕事も、珍しいのではないでしょうか。

内部監査部門は、近年J-SOX制度での内部統制の経営者評価における役割を認められています。

さらにコンプライアンス・リスク管理におけるデファクトスタンダードといえるスリーラインディフェンスにおいて、第3線「最後の防波堤」として、フレームワークに明確な位置付けを与えられています。

また昨今の個人情報の漏洩や重大な法令違反、品質管理の誤りなどの不祥事を起こした企業は必ずいっていいほど、「内部監査の機能不全、形式化」をその原因にあげ、対策として「内部監査部門の強化」を掲げるのも、そうした期待によるものと思います。

しかし、

  • 監査要員を採用したり一時的に監査案件数を増やしても、その後は有効な定着に至らない企業が大半ではないでしょうか?
  • 実態として優秀な社員を積極的なら内部監査部門にアサインする事業会社はあるでしょうか?
  • マネジメント層の本音として、内部監査は活躍を期待されているでしょうか?

個人的には残念ながら現状では肯定的な回答はできないと思います。

その原因はいくつかあるでしょうが、内部監査は通常のラインから独立した日常業務で「なくても困らない」存在であり、また内部監査報告を読んだ多くのひとがバリューを感じないと判断しているからでないでしょうか。

忘れられない一言/サイト開設へ

昔所属していた内部監査部門の本部長にこのようなセリフを言われたことがあります。

「所詮、内部監査なんだから。そんなに頑張らなくてもいいんだよ」

内部監査の部門長自身にこれを言われるとは思っていませんでした。悔しい気持ちの反面、結局内部監査とはその程度のものなのかもしれない、と無力感を感じたのを覚えています。

他方で会社全体を自身の業務領域としてあらゆるテーマで監査を行うことができること、「会社を良くする」ことにフォーカスできること。こうした内部監査の特性はやりがいと可能性は持っていると当時は考えていました。

そのまま監査の魅力に惹かれて、足掛け13年間の「監査暮らし」の中で、内部統制の整備・運用評価から業務監査・システム監査と一通りの領域をスタッフからマネージャーまでやりました。

またERMのプロジェクトやデューデリジェンス、コンサル会社で内部統制とセキュリティアドバイザリーの真似事もやり、「内部監査」の世界を少しは覗いてきた気になってきました。やはりそれだけの魅力と懐はある仕事だと今も改めて感じています。


上記の一言のあとしばらくして別の事業会社に転職をしましたが、内部監査部門の運営方針や職業意識と成果をめぐって部門長との意見の食い違いが多く、失意を感じる日々でした。やはり「所詮内部監査」なんだろうか、と。

改めて「内部監査とは何か」「内部監査は何の役に立つのか」を自問自答していました。

そこで、先ず自身の研鑽のためこれまでの経験や新しい知識を整理・獲得して整理することを考えました。

その際作成したコンテンツを世の人達に見てもらうことで、社会への還元と言っては大仰ですが、少しでも内部監査という仕事の理解につながるのではとも思いました。

というのは、ネット社会の現代にありながら内部監査を扱ったサイト自体の少なさや、仮にあっても現場の実態が伝わるものはかなり稀という印象をずっと感じていたからです。

特に

「これから内部監査をしてみたい人」

「今まさに内部監査をしている人」

「しなくないけど内部監査部門に配属になった人」

に、役に立つ情報を提供したいと考え2020年にこのサイトを開設しました。

【補足】
各記事はこれまで経験してきたインターネット系事業会社の内部監査部門での業務が前提になっています。

内部監査は業種・業界によっても在り様が異なりますし、自身の限られた範囲の知見や情報・気付きが中心のサイトです。記事内容については皆さまのご判断のうえで適宜吟味・取捨ください。

最後に

まだまだ未熟なサイトですが、ご覧頂いた方にとって一歩でも半歩でも内部監査の楽しさや価値の向上につながれば何よりの喜びです。

ご意見やご感想もお待ちしてます。全てご返信できない場合もありますが必ず目を通させて頂きます。

令和2年1月1日

サイト管理者:「ネット企業の監査人」(HN)