【体験記】新型コロナ影響下での転職活動
はじめに
新型コロナ感染症の影響は依然強く、緊急事態宣言は5月31日まで延長されています。
在宅勤務の強い奨励や飲食業の夜間営業制限、移動制限によるエネルギー需要の低迷等社会的・経済的な影響は激甚です。リモート会議ソリューション企業などごく一部の例外を除き、ほぼ全ての業界・業種がマイナス影響を受けているといってよいでしょう。
事業運営が著しく困難になる、又はその見込みが強く転職を考えざるを得ない方、元々転職を考えていた方様々あると思いますが転職の市場や活動の状況はどうでしょうか。
2020年2月~5月とコロナ影響が拡大する中で転職活動をした筆者の個人的経験とエージェントから見聞きした内容について、参考として記載します。一個人の感想・所感としてお聞きください。
コロナ禍での転職事情
求人状況
2月~3月に掛けては自分のような専門職種実求人が激減するという状況ではありませんでしたが、4月に進むにつれ中途採用がより絞られていく印象を受けました。他の特徴には下記があると考えます。
未経験・ポテンシャル採用は減少
担当した全てのエージェントが異句同音に述べるのが、ポテンシャル採用の減少です。
従来欠員補充時にはスタッフクラスであれば必ずしも経験者でなくても近似した経験や素質・素養があればポテンシャル採用している企業もありましたが、専門職種では先ず未経験採用はなくなったそうです。
内部監査・内部統制の職種は、内部管理体制の強化やIPO準備等明確な理由があるケースが多いので、特にこの傾向があったようです。
コロナ禍を受ける産業の求人も減少
同様に共通してエージェントより述べられたのは、旅行・観光業、飲食業はもとよりメーカー・製造業、建築業等での求人が減少又は募集停止になっていることです。
コロナ禍は人と人の接触・移動が必要な業種に対して最も大きく影響するのは間違いないようです。一部の例外を除き上記の業種に限らず景気の冷え込みは深刻であるため、今後はより一層求人関係も厳しくなる可能性が高いのではと思います。
IPO目標企業の求人も減少
景気の劇的な落ち込みを背景に、上場を遅らせる/見送る企業が増えていることも同様に各エージェントが共通して述べていました。
IPOを目指す企業は基本的には規模がまだ大きくなく、現預金などの流動資産を含め手元資金が必ずしも潤沢でないことも多いため採用に係る諸経費を見直す動きにでることは自然なことといえます。
Eコマースやデリバリー、特殊なヘルスケア事業や動画配信等コロナ禍でのニーズにより売上を伸ばす企業もありますが、そうした
選考プロセス・方法の変化
以下は基本的に自身の体験談を記載します。
書類選考は体感的には変わらず
エージェントは「書類選考は結果でるまで、通常時よりやや時間が掛かる傾向にある」と述べる方が多かったですが、概ね2~3日長いものでも1週間以内には回答が来たので、数年前の前回転職時と比べて筆者個人はあまり大きな変化を感じませんでした。
ただし、コロナ影響の進行真っ最中であるため、採用計画の変更や見直し、不要・不急のポジションクローズ検討や、テレワーク状態初期のコミュニケーション低下等で選考がやや遅延することは大いにあり得るとは思いました。
面接は全てリモート形式
3月~5月まで全5社計10回ほど面接を受けましたが、全てリモート方式でした。これにより9時開始など早朝の時間でも面接を入れたり、移動時間を考慮せず複数の面接を入れることもできるので、転職志望者側にとっては便利といえるでしょう。
感染リスクが相互にある関係や緊急事態宣言などで移動制限に関する社会的要請のもとで使用されるアプリケーションの割合としては、Zoomが8割、ハングアウトが1~2割、Skypeが1割という形でした。圧倒的にZoomが人気でした。
各アプリケーションの使用方法を確認するとともに、マイク、カメラは事前に問題ないかテストしていました。
面接なのでカメラもそうですが、一番は音声が聞こえないことが問題になるのでスピーカーがあることが望ましいと思います。リモートでも自然な形で対話することが重要なので、個人的にはヘッドセットは面接ではあまりいい印象を与えないのではと感じます。
【参考記事】
服装は私服OK
筆者が応募した企業はインターネット系事業会社で元々服装の自由度が高いこともあると思いますが、リモート面接という特性からか面接案内には判で押したように『スーツ又は私服のいずれでも可』と記載されていました。
面接官も全て自宅からカジュアルな服装で面接に来ていることもあり、スーツは却って固すぎる印象を与える可能性があると考え、筆者はビジネスカジュアル、つまりジャケット+ワイシャツ(ノーネクタイ)という服装で面接に行きました。特に問題はありませんでした。選考も普通に通過していました。
子供同伴OK
4月7日の緊急事態宣言が発令され、筆者の住む地域では保育園が事実上休園になっていました。この日以降はパートナーが在宅勤務できない職種であったため、筆者が在宅勤務しながら未就学児の世話をしていました。
基本的にはパートナーに子供を預けられる時間に面接を入れていましたが、どうしても何度か調整できませんでした。
この際エージェント経由で未就学児が同室する環境での面接は可能かと確認しましたが、全ての企業でOKと回答されました。面接官自身も同じ境遇にある方も少なくなく、この点は理解があるようです。
とはいえ、在宅勤務でも同様ですが未就学児なのでこちらに来たり、声を出したりすることもあります。当然ながら落ち着いた環境ではないこともあるのでなるべく控えることが相互にとっと望ましいと思いました。
最後に
先の読めない状況なので、転職については進むも退くもそれぞれのメリット・デメリットがあり、またそれが判断しにくくなっています。転職を考える方や考えざるを得ない方にはとても悩ましいと思います。筆者も迷いました。
5月12日現在は、緊急事態宣言は依然継続しているものの、徐々に出口戦略について言及される機会も増えてきました。
しかし、2008年のリーマンショックを経験した方は分かると思いますが、本当の不況やダメージは翌年以降に強烈なボディブローとして響いてくる場合もあります。
今現在コロナ情勢で転職検討を中断している方も多いと思いますが、2~3年単位で厳しい求人環境は継続するかもしれません。「転職する」と心に決めているならば、自分の条件に合う企業を早めに検討していくのも選択肢を減らさないための一つの考え方ではないでしょうか。
いずれにしても自分が本当に実現したいキャリアが何か、またライフプランで本当に重視すべきものは何か、考えさせられる機会になっていることは間違いないと思います。
[参考記事]
本記事を含む内部監査へのキャリア事情や働きやすさ、転職や面接についての纏め記事です。関連する記事がマッピングされているので良ければお読みください。
投稿者プロフィール
- J-SOXバブル時に内部統制コンサルに。以来通算13年間内部監査・内部統制・リスクマネジメント・セキュリティ業務に従事しています。
自身の学びも兼ねて、縁があって内部監査を始めよう/既にしている方達に少しでも役に立つ、現場の情報をお伝えしたいと思います。
【保有資格】
・公認内部監査人(CIA)
・公認情報システム監査人(CISA)
・内部統制評価指導士(CCSA)
・公認情報セキュリティマネージャー(CISM)
・Certified Data Privacy Solutions Engineer(CDPSE)
【所属】
・日本内部監査協会会員
・ISACA東京支部会員