内部監査とワークライフバランス

内部監査とワークライフバランス

過重労働により心身の健康を害してしまう事案が広く報道されるにつれ、ここ数年いわゆるワークライフバランスに注目が集まっています。

政府広報オンライン(※)では、 ワークライフバランスを次のように定義しています。『「仕事」と育児や介護、趣味や学習、休養、地域活動といった「仕事以外の生活」との調和をとり、その両方を充実させる働き方・生き方のこと』

※「知っていますか?ワーク・ライフ・バランス」
  https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/201302_02/sitte/index.html

働き方は個人の志向だけでなく未就学児がいたり、両親の介護をしたり等ライフステージによっても影響を受けてきます。一般的な内部監査部門でのワークライフ・バランスはどうでしょうか。

基本的に内部監査部門は「働きやすい」

内部監査部門にも様々な役割がありますが、総じて業務監査・システム監査などの社内監査を担当する部門は、ワーク・ライフ・バランスがとりやすいといえるでしょう。この理由は以下などがあります。

  • 「年間計画」に基づき監査テーマを遂行していくため、業務を計画的に進めやすい。言い換えると突発的な業務が少ない。
  • 監査報告会の後など、休みがとりやすい時期がある。
  • 案件ごとにチーム制をしくことが多く、業務の分担や不在時の引継ぎが比較的しやすい。
  • 監査の品質や納期は内部監査部門が独自に設定するため、外部からの過度なプレッシャーが少ない。
  • 案件を抱えすぎない限りは、全体的には残業が多くはない。

業務品質への過度なプレッシャーが少なく、相対的な業務量も自分たちで調節可能であり、かつ計画的に進めることができるため、内部監査の部門は比較的働きやすいといえるのではないでしょうか。

また基本的に被監査部門の働き方に合わせた業務スタイルになるため、新型コロナ影響下においてテレワーク・リモートワークが推進されている会社においては、内部監査もこれらを活用した在宅勤務が認めらてれいるケースも少なくないでしょう。

【参考記事】

しかし、もちろん例外もあります。場合によっては部門の閉鎖性ゆえに「ブラック」化してしまうケースもあります。

内部監査部門が「ブラック」となるケース

ケース① 内部監査責任者の品質要求が過大

部門長などの品質責任者が、詳細なロジックやエビデンスの証拠力・監査報告書の表現にこだわるタイプの場合は、細かな監査手続が求められたり、監査報告書の作成・修正に時間を要します。

被監査部門への追加確認の⇒報告書の修正⇒責任者レビュー⇒修正フィードバック⇒被監査部門への追加確認・・・・等というように繰り返し手戻りが生じるケースもあり、業務量が爆発的に増えてしまうことがあります。

また、被監査部門に細かい説明や再確認を求めることは「申し訳なさ」が先に立ち、監査担当者として心理的に辛くなることもあります。

対策としては業務状況を伝えて、納期と品質のバランスや落としどころを丁寧にすり合わせすることが必要でしょう。

ケース② 極端に人員が僅少

規模の小さい事業会社では、内部監査部門が2~3名程度で運営されるケースも珍しくありません。この際は通常の内部監査、監査役監査の支援、J-SOX対応など各種の役割を少人数で回すことあります。

リソース不足の監査部門では通常業務を実行するだけでカツカツの場合が少なくありません。
こうした状況の中でさらに、経営層からの要望による調査・監査法人の指摘対応・認証審査機関との指摘対応・社内の重大事故の検証等、「読みにくい」追加作業が発生すると、簡単に仕事がパンクしてしまいます。

突発的な案件については既存案件との業務調整をよく考慮し、業務範囲の見直しや工数調整等を的確に行うことが重要になります。

ケース③ リアルタイム性が要求される業務の存在

内部監査部門によっては、内部通報制度の管理や社内の事故報告の管理などをしていることもあります。こうした業務は突発的にかつ一定の緊急度で対応を要求されることも多く、それなりの負荷となります。

さらにこうした緊急対応に時間を割くことで、定常的に行っている監査案件の対応やその他業務に回す時間がなくなり、その分を残業や休日出勤などてカバーするケースも出てしまいます。これは特に納期目標に厳しい部門長の際は留意が必要です。

適切な間隔で担当のローテーションをしたり、当番制を実施するなど業務の過負荷が特定個人に偏らないような配慮が求められるでしょう。

最後に

利益目標や顧客対応が必要な営業部門、納期が厳格で一つ間違えると大きな影響をシステムに与えるエンジニアなどと比べると、業務の量・求められる品質・納期へのプレッシャー・業務の裁量度など総じて内部監査部門働きやすい環境にあることが多いと考えられます。

とはいえ、内部監査の組織体制や業務内容は様々あり、転職に際しては実態をよく見ておくことが必要ではないでしょうか。

[参考記事]
本記事を含む内部監査へのキャリア事情や働きやすさ、転職や面接についての纏め記事です。関連する記事がマッピングされているので良ければお読みください。

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投稿者プロフィール

ネット企業の監査人
ネット企業の監査人ネット系事業会社 内部監査室 室長
J-SOXバブル時に内部統制コンサルに。以来通算13年間内部監査・内部統制・リスクマネジメント・セキュリティ業務に従事しています。

自身の学びも兼ねて、縁があって内部監査を始めよう/既にしている方達に少しでも役に立つ、現場の情報をお伝えしたいと思います。

【保有資格】
・公認内部監査人(CIA)
・公認情報システム監査人(CISA)
・内部統制評価指導士(CCSA)
・公認情報セキュリティマネージャー(CISM)
・Certified Data Privacy Solutions Engineer(CDPSE)

【所属】
・日本内部監査協会会員
・ISACA東京支部会員
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